象嵌とは、文様を線彫りや地彫りをし、その部分に素地色と異なる種々の陶土を埋めて表現する装飾技法です。その作業量は膨大で、時間と根気が必要な手数のかかる技法ですが、非常に深みのある、独自の文様が生まれます。
大堀相馬焼は元禄三年(1690年)の創業以来、赤松を燃料とした登り窯を使って焼かれてきましたが、昭和40年代に近代的なガス窯、灯油窯、電気窯などが導入され、その姿を消しました。陶吉郎窯では、昭和63年に途絶えていた登り窯を復元し、毎年春先、焼成を行っております。ガス窯などの通常一昼夜の焼成時間に比べ、一週間にも及ぶ炎との戦いは、心身ともに過酷ではありますが、炎と薪の灰が生み出す自然の背景は、なんともいえない趣を醸し出します。
油滴天目は水に油の滴が浮いているような、漆黒の釉薬に銀白色の結晶が一面に現れた大変美しい釉薬です。曜変天目釉とともに天目釉の中で最高のものとされています。青彩油滴釉は藍色の発色がとてもきれいで、満点に輝く星空の趣があります。